バリアフリーリフォームの確定申告|所得税控除の種類と申請手順

費用・補助金・税制

バリアフリーリフォームを終えた後、補助金の申請は済ませたものの確定申告で所得税控除を受けることを知らずにいた、という方は少なくありません。会社員は年末調整で税務手続きが完結するイメージがありますが、バリアフリーリフォームの所得税控除は確定申告が必要です。

この記事では、バリアフリーリフォームで使える所得税控除の種類・対象工事の条件・確定申告の手順と必要書類・固定資産税減額との併用方法・申告を忘れた場合の対処まで解説します。工事後の手続きを漏れなく進めるための参考にしてください。

バリアフリーリフォームで使える所得税控除の種類

バリアフリーリフォームに対する所得税控除には、住宅ローンを使うかどうかで選択する制度が変わります。それぞれの仕組みと適用条件を把握しておくことで、自分に有利な方法を選べます。ここでは投資型減税の概要・住宅ローン控除との違い・適用できる所得の条件を説明します。

投資型減税(ローンなし)の概要

住宅ローンを使わずに自己資金でバリアフリーリフォームを行った場合に使える所得税控除で、正式名称は「住宅特定改修特別税額控除(投資型)」です。対象工事費の10%を工事完了年の所得税から直接控除する仕組みで、控除の上限は対象工事費250万円の10%で最大25万円になります。

控除しきれない分は翌年の所得税に繰り越せます。控除を受けるには確定申告が必要で、給与所得者(会社員)でも必ず確定申告を行う必要があります。

住宅ローン控除との違い

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末時点のローン残高の0.7%を所得税から最大5年間にわたって控除する制度です。投資型は工事完了年の1年間のみの控除で控除額が確定するのに対し、ローン控除は残高次第で毎年の控除額が変動し長期間にわたります。

同じ工事に対して投資型とローン控除を同時に選択することはできず、どちらか一方を選ぶことになります。借入金の金利コストと控除額の比較を行い、どちらが有利かを判断するか、税理士・ファイナンシャルプランナーに相談することが確実な方法です。

適用できる所得の条件

合計所得金額が3,000万円以下であることが条件で、3,000万円を超える年は適用できません。給与所得・事業所得・年金所得など所得の種類を問わず、合計所得が条件の範囲内であれば申請できます。

所得税が非課税(所得が少ない、または各種控除で税額がゼロ)の場合は控除できる税額がないため、実質的な節税効果が生まれません。年金生活者で所得税が少ない場合は、控除できる金額が限られるため、固定資産税減額の方が確実に節税できるケースがあります。

投資型減税の対象条件と控除額

所得税控除を受けるためには、工事が対象要件を満たしていることを証明する書類が必要です。対象工事の範囲と金額要件を事前に確認しておくことで、申請準備をスムーズに進められます。ここでは対象工事の種類・控除率と上限額・住宅ローンを使った場合の仕組みを説明します。

対象になる工事の種類と基準

廊下の幅拡張・浴室の改良(手すり設置・段差解消・床の滑り止め)・トイレの改良・玄関・階段の改良などが対象工事として列挙されています。工事費の合計が50万円を超えること(補助金等を受けた場合はその受取額を差し引いた金額で判定)が金額要件です。

対象工事に該当するかどうかは「増改築等工事証明書」の内容で判断されるため、施工業者または建築士に事前確認するのが確実な方法になります。証明書の発行には時間がかかることがあるため、工事完了後すぐに業者に発行を依頼しておくことが重要です。

控除率と控除上限額

控除率は対象工事費の10%で、控除上限の計算は「対象工事費(最大250万円)× 10%=最大25万円」になります。工事費が250万円未満の場合は「実際の工事費 × 10%」が控除額です。

所得税額が控除額より少ない場合は、控除しきれない部分が翌年分の所得税に繰り越されます(翌年以降への繰り越しはなくなります)。所得税額と控除見込み額を照らし合わせて、実際の節税効果を把握しておきましょう。

住宅ローンを使った場合の控除の仕組み

住宅ローン控除は年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税・住民税から控除します。バリアフリーリフォームをローンで行った場合、リフォームローン残高の0.7%が控除の計算基礎になり、適用期間は5年間です。

リフォームローンでバリアフリー工事以外の工事も同時に行う場合、バリアフリー工事部分に対応するローン残高のみが控除の対象になります。バリアフリー工事と他の工事が混在する場合は、工事費の内訳をもとにバリアフリー部分の割合を算出して申告書に記入する必要があります。

確定申告の手順と必要書類

確定申告は書類の準備と申告書の記載という2つの作業が必要です。書類の中で最も取得に時間がかかるものを早めに依頼しておくことが、申告期限に余裕を持って対処するための準備になります。ここでは申告期間と申告窓口・用意する書類・申告書への記載方法を説明します。

申告期間と申告窓口

所得税の確定申告期間は毎年2月16日〜3月15日(土日・祝日で前後することあり)です。申告窓口は居住地の管轄税務署またはe-Tax(国税電子申告)での電子申請が可能で、スマートフォンやPCからID・パスワード方式で申請できます。

税務署の窓口は確定申告期間中に混雑するため、e-Taxでの申請が時間節約になりやすい方法です。給与所得者が医療費控除などと同時に申請する場合は、一通の確定申告書にすべての控除をまとめて記入できます。

自分で用意する書類の一覧

確定申告に必要な書類は5点です。確定申告書(税務署または国税庁サイトから入手、e-Taxでは画面入力)、給与所得者は勤務先から受け取る源泉徴収票、税務署窓口申告の場合に必要なマイナンバーカードまたは通知カードと身元確認書類、工事費の合計額確認のための工事費領収書または請求書、補助金等の受給がある場合は支給決定通知書などが必要になります。

工事業者から受け取る証明書類

「増改築等工事証明書」は建築士・指定確認検査機関・登録住宅性能評価機関等が発行する証明書で、投資型・ローン控除どちらにも必要です。施工業者が建築士資格を持っていれば工事完了時に発行してもらえますが、持っていない場合は別途建築士への依頼が必要になります。

「住宅ローン年末残高証明書」はローン控除を申請する場合に金融機関から郵送されます(12月から翌1月頃に届きます)。証明書の発行に時間がかかることがあるため、工事完了時に業者に「税控除用の工事証明書を発行してほしい」と即座に依頼しておきましょう。

申告書への記載方法

投資型控除は確定申告書の「住宅特定改修特別税額控除」欄に記入し、「住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書」を添付します。計算明細書には対象工事費の内訳・補助金等の受取額・控除の計算式を記入する欄があり、増改築等工事証明書の内容をもとに記載します。

e-Taxで申請する場合は、画面の案内に従って必要事項を入力すると自動的に計算される部分が多く、記入ミスが減りやすい方法です。初めて申告する方は、確定申告期間前に税務署の無料相談会を活用すると記載方法を丁寧に教えてもらえます。

控除申請でよくある疑問と注意点

確定申告に不慣れな方からよく寄せられる疑問について整理します。特に「会社員でも申告が必要か」「固定資産税減額と同時に申請できるか」は混乱しやすいポイントです。ここでは給与所得者の申告の必要性・固定資産税減額との併用・申告を忘れた場合の対処を説明します。

給与所得者でも確定申告が必要になる場合

会社員は通常「年末調整」で所得税の精算が完了しますが、バリアフリーリフォームの投資型控除の申請は確定申告が必要で、年末調整では対応できません。初年度の確定申告後、ローン控除に限り翌年以降は年末調整で対応できますが、投資型は1年限りなので確定申告のみで完結します。

確定申告の経験がない会社員の場合は、税務署の窓口または税務署主催の相談会を利用すると手続きの流れが把握しやすくなります。医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)も同時に申請したい場合は、一通の確定申告書にまとめて記載することで手続きを1回で済ませられます。

固定資産税減額制度との併用可否

投資型控除(所得税控除)と固定資産税減額特例は同一の工事に対して両方申請することが可能で、併用が認められています。それぞれ申請先・申請書類・申請期限が異なるため、別々に準備して申請することが必要です。

投資型控除は確定申告(税務署へ2〜3月)、固定資産税減額は工事後3ヶ月以内に市区町村の固定資産税担当窓口へ申請します。両制度を同時に申請することで節税効果が大きくなるため、どちらかを申請し忘れないようスケジュール管理を徹底してください。

リフォーム後に申告を忘れた場合の対処

確定申告の期限(3月15日)を過ぎた場合でも「更正の請求」という制度で遡及申告できる期間が定められており、工事完了年から5年以内であれば提出できます。申告を忘れていても一定期間内であれば控除を受けられる可能性があるため、気づいた時点で税務署に相談してみましょう。

ただし固定資産税減額は工事後3ヶ月以内が期限で遡及申請ができないため、忘れた場合の対応は確定申告(所得税)と固定資産税で異なります。更正の請求には通常の確定申告と同様の書類が必要で、税務署窓口またはe-Taxで手続きを行います。

まとめ

バリアフリーリフォームで使える所得税控除は、住宅ローンを使わない場合の「投資型減税」(対象工事費の10%・最大25万円)と、ローンを使う場合の「住宅ローン控除」(年末残高の0.7%・最大5年間)の2種類です。会社員でも年末調整では対応できないため、工事完了翌年の確定申告期間(2〜3月)に申告が必要になります。申請に最も時間がかかる増改築等工事証明書は工事完了時に業者へ即座に依頼しておくことが重要で、固定資産税減額との同時申請でさらに節税効果を高められます。申告を忘れた場合も工事完了年から5年以内であれば「更正の請求」で遡及申告が可能なため、まずは税務署窓口または国税庁のウェブサイトで手続きを確認してみてください。

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