親の介護が急に始まると、何をどこで揃えればいいのか見当がつかないものです。店頭で一つずつ見ても全体像はつかみにくく、まず介護用品のカタログを1冊手元に置くと、必要なものの目星がついて家族でも相談しやすくなります。
とはいえ、カタログはどこで手に入るのか、届いても何を基準に選べばいいのかで迷う方は多いでしょう。介護保険で借りられる用具と買う用具の違いもあり、最初はわかりにくいものです。
そこで、介護用品カタログの入手方法から、載っている用具の種類、選ぶときの基準、相談したい相手までをまとめました。まず情報を集めたいという段階の手がかりとして役立ててください。
介護用品カタログの役割
介護用品を揃える第一歩は、どんな用具があるのかを知ることです。ここでは、カタログが介護初期の家族にとってどんな役割を果たすのかを見ていきます。
全体像をつかむための最初の一冊
全体像をつかむうえで、カタログは最初の1冊になります。介護が始まったばかりだと、そもそもどんな用具があるのかが分からず、店頭で個別に眺めても全体像は見えてきません。
その点、カタログには杖や手すり、車いす、介護ベッド、トイレ用品などが用途ごとに並んでいるので、必要なものの見当がつきます。まず1冊を手元に置けば、先に何から揃えるかという優先順位を家族で決めやすくなります。用具の種類やレンタルと購入の考え方を先に押さえたい方は、介護用品の全体像もあわせて確認しておくとよいでしょう。
家族で見比べるときの共通の資料
家族で相談するときにも、同じカタログが共通の資料になります。介護には同居の家族だけでなく、離れて暮らすきょうだいが関わることも多く、口頭の説明だけでは価格や機能のイメージが食い違いがちです。
同じ写真と価格を見ながら話すと、認識がそろって意思決定が早まります。気になった用具の品番や写真を控えておけば、あとで事業者やケアマネジャーに相談するときの材料にもなります。遠方のきょうだいがいるなら、冊子を郵送したりページを撮って送ったりするとよいでしょう。同じ情報を手元で見比べられれば、離れて暮らしていても話がかみ合います。介護が数年続くうちに担当や住まいが変わっても、共通の1冊があれば話の起点を作り直さずに済むはずです。カタログは選ぶための資料であると同時に、話し合いをまとめる道具でもあるのです。
介護用品カタログの入手方法
カタログを手に入れるルートは、大きく3つあります。ここでは、メーカー・福祉用具事業者・自治体という入手先ごとの特徴を説明します。
メーカーが無料で配る商品カタログ
手に入れやすいのが、福祉用具メーカーの無料カタログです。多くのメーカーが総合カタログを用意しており、公式サイトの申込フォームや電話で取り寄せられます。取り寄せ自体は無料で、数日から1週間ほどで自宅に届くのが一般的です。会員登録なしで請求できるメーカーも多く、電話が苦手なら公式サイトのフォームから氏名と住所を入力するだけで申し込めます。
カタログには杖や歩行器、入浴補助用具などが品目別に載り、サイズや重さ、耐荷重といった仕様まで確認できます。複数のメーカーから取り寄せて見比べると、同じ用途でも価格や機能に幅があると分かるでしょう。1社だけで決めず、2〜3社を並べて検討するのがおすすめです。
福祉用具貸与・販売事業者がそろえるカタログ
状態に合わせて選びたいときに頼りになるのが、介護保険の福祉用具を扱う事業者のカタログです。貸与・販売事業者は複数メーカーの取扱商品をまとめた冊子を持っており、担当の福祉用具専門相談員に相談すると、状態に合う候補を絞ったうえで見せてくれます。
このカタログにはレンタルできる用具と購入する用具が一緒に載るので、どちらで揃えるかを比べるのに向いています。同じ相談員が住宅改修の相談にものることも多く、手すりの設置やスロープの用意まで一緒に考えてもらえるのは心強いところです。介護用品をどこで買えるかを店舗や通販とあわせて知りたい方も、事業者への相談から始めると見きわめやすいはずです。
自治体と地域包括支援センターの制度案内
制度から確認したいときに使えるのが、市区町村や地域包括支援センターの窓口です。ここでは、介護保険で使える福祉用具や住宅改修の制度案内、パンフレットを配っています。地域包括支援センターは、おおむね中学校区ごとに置かれた高齢者の総合相談窓口で、住まいの市区町村のホームページや役所の介護保険担当課で場所を確認できます。
商品カタログというより、何が保険の対象になるのか、申請はどう進むのかを知るための資料だと考えてください。要介護認定やケアプランの相談と合わせて受け取れば、制度と商品の両面から必要なものを見きわめられます。まだ何から手をつけるか決まらない段階でも、窓口で一度資料をもらっておくと動き出しやすくなります。
カタログに載っている介護用品の種類
カタログの用具は、介護保険での扱いによって性格が変わります。ここでは、レンタル・購入・保険対象外という3つの区分を見分けられるように説明します。
レンタルできる福祉用具貸与の対象
レンタルで使うのが、福祉用具貸与にあたる用具です。厚生労働省の福祉用具貸与では、車いすや特殊寝台(介護ベッド)、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえなどが対象として示されています。
繰り返し使え、体の状態が変われば交換もできるものは、レンタルに向いています。ただし要支援1・2や要介護1の方は、車いすや特殊寝台など一部の種目が原則として保険の対象外になる点に気をつけてください。対象外でも、状態によっては例外的に貸与が認められる場合があるので、あてはまりそうなときは担当のケアマネジャーに確認するとよいでしょう。月額の目安は用具や地域で変わりますが、自己負担は原則として単価の1〜3割で、割合は所得に応じて決まります。
買って使う特定福祉用具販売の対象
購入して使うのが、特定福祉用具販売の用具です。厚生労働省の特定福祉用具販売では、腰掛便座や入浴補助用具、簡易浴槽などが対象とされ、入浴や排泄で肌に触れ、他人が使ったものを再利用しにくい用具は、貸与になじまず販売になると説明されています。
介護保険の対象であれば、同一年度10万円までを上限に、費用の一部が払い戻される償還払いの仕組みが使えます。カタログでは「レンタル」「購入」の表記や保険対象のマークで見分けられることが多いので、注文前に確認しましょう。
介護保険の対象外になる一般の介護用品
保険の対象にならない用具も、カタログには数多く載っています。紙おむつや防水シーツ、食事用エプロン、滑り止めマットといった消耗品や日用品は、介護保険の福祉用具には含まれません。毎日使って買い替える消耗品ほど、この対象外にあたるものが多くなります。
これらは全額が自己負担となり、ドラッグストアや通販でも手に入ります。カタログを見るときは、保険対象の用具と実費の日用品を分けて考えると予算を組みやすくなるでしょう。とくに消耗品は月ごとの出費になるため、1回の金額だけでなく毎月かかる総額を見込んでおくと安心です。
要支援1・2と要介護1の方は、車いすや介護ベッドなど一部の用具がレンタルの保険対象外になります。紙おむつなどの日用品も実費です。カタログの保険表記を必ず確かめてから注文してください。
区分ごとの違いを、下の表にまとめました。
| 区分 | 主な用具 | 費用の扱い |
|---|---|---|
| レンタル(福祉用具貸与) | 車いす、介護ベッド、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ | 月額の1〜3割を負担 |
| 購入(特定福祉用具販売) | 腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽 | 年10万円まで一部が払い戻し |
| 保険対象外 | 紙おむつ、防水シーツ、滑り止めマット | 全額を自己負担 |
介護用品の選び方の基準
用具が絞れてきたら、次は選ぶ基準です。ここでは、カタログを見ながら使う4つの物差しを順に説明します。
選ぶ基準は4つあります。使う人の体格と状態、設置場所の寸法、保険で借りるか買うか、使う期間と予算。この順で絞ると迷いにくくなります。
使う人の体格と身体の状態に合うサイズ
使う人の体格と状態に合うかどうかは、最初に確かめたい点です。杖や歩行器、車いす、介護ベッドは、身長や体重、耐荷重に合うサイズを選ばないと安全に使えません。たとえば杖なら床から手首までの高さ、車いすなら座面の幅と奥行き、介護ベッドなら使う人の身長に対する長さが目安になります。合わないものを無理に使うと、かえって転倒やすり傷の原因になりかねません。
さらに、麻痺やしびれの有無、握力、立ち座りの動作によっても、適した形は変わってきます。カタログの仕様欄にある適応身長や耐荷重、サイズ展開を必ず確認しましょう。判断に迷うときは、実際に試せる用具を候補にしておくと失敗を防げます。
設置する場所の広さと動線に合う寸法
置き場所に収まるかどうかも、早めに確かめたい点です。介護ベッドや車いす、手すりは、設置する部屋の広さや通路の幅に収まるかを先に測っておく必要があります。介護ベッドは搬入経路も要確認で、玄関の幅や廊下の曲がり角、エレベーターの奥行きを通れるかを先に測っておくと、搬入当日に入らないという事態を避けられます。
カタログに載る外形寸法(幅・奥行き・高さ)と、自宅で測った寸法を突き合わせてください。とくにトイレや浴室など動線上に置くものは、人がすれ違えるか、車いすが回転できるかまで見ておくと安心です。採寸を後回しにすると、届いてから置けないという事態になりかねません。
介護保険で借りられるか買えるかの区分
同じ用途の用具でも、保険での扱いを確かめておくと負担が変わります。レンタル(貸与)か購入(販売)かで、負担額と手続きが変わってくるからです。カタログの保険対象表記を見て、貸与・販売・保険対象外のどれにあたるかを見分けましょう。
なお、固定用スロープや歩行器、歩行補助つえなどは、令和6年4月からレンタルと購入を選べる選択制の対象になりました。厚生労働省の選択制の対象種目に関する解釈にその範囲が示されているので、あてはまる用具は担当者と相談して決めてください。
使う期間と予算で分かれるレンタルと購入
使う期間と予算も、選ぶときの物差しになります。短い期間だけ使う、あるいは体の状態が変わりそうなものはレンタル、長く同じものを使うなら購入が向くと考えてよいでしょう。たとえば骨折の回復期に数か月だけ歩行器を使うならレンタル、毎日の入浴で長く使うシャワーチェアなら購入というように、使う場面で分かれます。レンタルは月々の支払いが続く一方、状態が変われば返却や交換ができるので、身体の変化が読みにくい時期にも向いています。
レンタルは月額の1〜3割負担で交換もしやすく、購入は初期費用がかかる代わりに自分のものになります。カタログの価格と、想定する使用期間、介護保険の負担割合を並べて、総額で比べるのがよいでしょう。目先の金額だけでなく、使い続ける期間まで含めて考えると後悔が少なくなります。
カタログで選ぶ前に相談したい相手
カタログである程度絞れても、最後は専門家に見てもらうと安心です。ここでは、注文の前に相談したい3つの相手を紹介します。
適合を見てもらう福祉用具専門相談員
適合を確かめてくれるのが、福祉用具専門相談員です。厚生労働省の福祉用具・住宅改修によれば、本人の心身の状況や住環境をふまえて用具を選び、使い方まで助言する専門職とされています。
カタログで挙げた候補を絞り込み、実際に体に合うか(適合)を確認してくれるのが強みです。貸与・販売事業者に在籍しているので、事業者に問い合わせれば相談の場をつくってもらえます。自宅に来て設置場所を見ながら選定書を作り、納品後も使い心地に合わせて調整やモニタリングをしてくれるので、届いて終わりにならないのも安心できるところです。
ケアプランと合わせて相談するケアマネジャー
生活全体を見る相手として、ケアマネジャーへの相談も欠かせません。福祉用具の利用は、ケアマネジャーが作るケアプランに位置づけて進めるのが基本になります。
介護保険で借りる・買う場合は、注文の前にケアマネジャーへ相談しておくと手続きがスムーズです。用具だけを切り離さず、生活の困りごとと合わせて相談すれば、何を優先して揃えるかも見きわめられます。ケアマネジャーはデイサービスや訪問介護などほかのサービスとの兼ね合いも見ているので、用具の要望を伝えれば全体の予算やスケジュールに無理がないかを一緒に考えてもらえます。担当がいない場合は、次に紹介する地域包括支援センターで探すところから始めるとよいでしょう。
介護全体の入り口になる地域包括支援センター
まだ担当がいない段階なら、地域包括支援センターが入り口になります。ここは介護保険や福祉用具、住宅改修の相談を無料で受け付ける公的な窓口です。保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職が常駐し、本人だけでなく離れて暮らす家族からの電話相談にも応じてくれます。まだ要介護認定を受けていない段階でも利用でき、認定の申請手続きの案内までまとめて頼めるのが特徴です。
担当のケアマネジャーがいない介護初期でも、どこに相談すればよいかを案内してくれます。制度資料の受け取りと相談を一度で済ませられるので、最初の相談先として使いやすいでしょう。迷ったら、まずここに足を運んでみてください。
まとめ
介護用品のカタログは、全体像をつかみ、家族で見比べるための資料です。集めるルートはメーカーの無料カタログ、福祉用具事業者、自治体窓口の3つがあります。載っている用具はレンタル(貸与)、購入(販売)、保険対象外の3種類に分かれるので、見分けてから予算を組みましょう。
選ぶときの物差しは、使う人の体格と状態、設置場所の寸法、保険で借りるか買うか、使う期間と予算の4つです。カタログだけで決めきれないときは、福祉用具専門相談員やケアマネジャー、地域包括支援センターが力になってくれます。気になる用具が見つかったら、まずは介護保険で借りられるか買えるかを確かめ、迷ったら注文の前に一度相談することから始めてみてください。


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