バリアフリーリフォームで固定資産税が減額される条件と申告方法

費用・補助金・税制

親のために手すりを付けたり段差をなくしたりする工事をすると、費用のことばかりに目が向きがちです。ただ、一定の条件を満たすバリアフリー改修は、翌年度の固定資産税が軽くなる場合があります。工事のあとに申告をすれば、家屋の税負担が一年分だけ下がる仕組みです。

この減額は、黙っていても自動で適用されるものではありません。工事の内容や住んでいる方の年齢、費用の額といった条件があり、しかも工事が終わってから決められた期間内に、自分で市区町村へ申告する必要があります。知らずに期限を過ぎると、受けられたはずの減額を取りこぼしてしまいます。

そこで、固定資産税が減額される仕組みと、対象になる住宅や人の条件、給付対象の工事、費用の要件、申告の手順と必要書類までをまとめました。翌年度の税負担を少しでも下げたい方が、工事の前後で何を確かめておけばよいかの手がかりとしてお使いください。

固定資産税が減額される仕組み

バリアフリー改修に対する固定資産税の減額は、家屋にかかる税額そのものを一定割合だけ差し引く制度です。ここでは、どの税がどれだけ、いつの分だけ軽くなるのかという基本の形を見ていきます。

翌年度分の固定資産税が3分の1減額される

対象になる改修をすると、工事が終わった年の翌年度分の固定資産税が減額されます。国土交通省のリフォーム促進税制の案内では、要件を満たすバリアフリー改修について、翌年分の家屋の固定資産税を3分の1軽減すると示されています。減るのは家屋にかかる分で、土地の固定資産税は対象になりません。

減額されるのは工事の翌年度の一年分だけで、二年目以降はもとの税額に戻ります。毎年ずっと安くなるわけではない点は、あらかじめ知っておいたほうがよいでしょう。所得税の控除のように数年にわたって効くものとは性質が違うので、翌年度に一度だけ効く軽減と考えておくと、期待とのずれが生まれにくくなります。

減額は床面積100㎡相当分までが対象

減額は家屋の床面積すべてにかかるのではなく、100平方メートルに相当する部分までが上限です。家屋がこれより広くても、100平方メートルを超える部分の税額は減りません。逆にこれより狭い家屋なら、床面積の全部が減額の対象になります。

住んでいる家がおおむね30坪ほどまでなら、家屋全体の税額の3分の1が軽くなると考えてよいでしょう。広い戸建てでは減額の効きが頭打ちになる形ですが、それでも100平方メートル分は差し引かれます。自分の家屋の床面積が上限を超えるかどうかは、固定資産税の課税明細書で確かめておくと見当がつきます。

所得税の控除とは別の制度

バリアフリー改修では、この固定資産税の減額とは別に、所得税が控除される制度もあります。二つは名前が似ていて混同しやすいものの、税の種類も手続きの窓口も違う、別々の制度です。固定資産税は住んでいる市区町村へ申告し、所得税は税務署へ確定申告する形に分かれています。

条件を満たせば両方をあわせて使える場合もあるので、どちらか一方だけと決めつけないほうがよいでしょう。所得税の控除は工事の翌年に確定申告で受ける形になり、固定資産税の減額とは申告する先も時期も分かれています。この記事では、以降は固定資産税の減額にしぼって手続きを見ていきます。

減額を受けられる住宅と人の条件

固定資産税の減額は、どんな住宅でも受けられるわけではなく、家屋の古さと住んでいる方の状態に条件があります。ここでは、対象になる住宅と人の三つの条件を順に見ていきます。

新築から10年以上たった住宅が対象

まず、家屋そのものに古さの条件があります。国土交通省の案内では、新築された日から10年以上経っている住宅が対象と示されています。建てたばかりの新しい家は、この減額の対象になりません。

築年数は、登記されている新築の日を基準に数えます。中古で買った家でも、建物自体が新築から10年以上たっていれば、持ち主が変わっていても条件を満たせます。自分の家がいつ新築されたかがはっきりしないときは、登記事項証明書や固定資産税の課税明細書で新築年を確かめておくとよいでしょう。マンションのような区分所有の住宅でも、建物が新築された時期をもとに古さを見ます。

65歳以上・要介護・障害のある方が住んでいる

次に、その家に住んでいる方の状態にも条件があります。65歳以上の方、要介護または要支援の認定を受けている方、障害のある方のいずれかが住んでいることが求められます。バリアフリー改修が必要とされる方が、実際にその家で暮らしていることが前提になっているためです。

三つのうちどれか一つに当てはまればよく、すべてを満たす必要はありません。たとえば同居する親が65歳以上であれば、子ども世帯が持ち主であっても条件を満たします。年齢や認定の状況は、工事の翌年の1月1日を基準に見るのが一般的なので、申告の前にどの書類で証明できるかを確かめておくとよいでしょう。

賃貸でなく本人が住む住宅であること

家屋が賃貸に出されている場合は、この減額の対象になりません。人に貸して家賃を得ている住宅ではなく、持ち主やその家族が実際に住んでいる住まいであることが条件です。店舗や事務所と一体になった家屋では、住んでいる部分の割合など、扱いが変わることもあります。

親が住む実家を子が費用を出して直すような場合も、その家に親が住んでいれば対象になり得ます。持ち主と住んでいる方が別でも、居住している方が条件に当てはまればよいという考え方です。自分のケースが当てはまるか迷うときは、家屋のある市区町村の固定資産税の窓口に、事前に確かめておくと安心です。

対象になるバリアフリー改修工事

減額を受けるには、決められた種類のバリアフリー工事にあたることが必要です。ここでは、給付対象になる主な工事を三つのまとまりに分けて見ていきます。

手すりの取り付けと段差の解消

対象工事の代表が、手すりの取り付けと、床の段差をなくす工事です。廊下や階段、浴室やトイレに手すりを付けて、立ち座りや移動のときに体を支えられるようにする工事があたります。玄関の上がりがまちや部屋の敷居といった段差をなくし、つまずきや転倒を防ぐ工事も含まれます。

これらは高齢の親が家の中で転ぶのを防ぐ、もっとも基本的な工事です。手すりや段差解消は費用も比較的おさえやすく、最初に取りかかる家庭が多いところです。ただし、家具として置くだけの手すりや簡単な後付け品は工事とみなされないこともあるので、対象になるか迷う工事は、着工の前に業者や市区町村へ確かめておくとよいでしょう。

廊下や出入り口の拡幅と引き戸への交換

車いすや歩行器を使うための、通路や出入り口を広げる工事も対象です。廊下や出入り口の幅を広げて、車いすでも通り抜けられるようにする拡幅工事があたります。開き戸を引き戸や折れ戸に取り替え、少ない力で開け閉めできるようにする戸の改良も含まれます。

これらは、歩行が難しくなって車いすを使い始めた親のいる家庭で必要になりやすい工事です。階段の勾配をゆるやかにして上り下りの負担を減らす工事も、対象に含まれます。介護保険を使った住宅改修と重なる工事もあるので、そちらの給付とあわせて考えたい方は、介護保険の住宅改修の仕組みも確認しておくと、費用の組み立てがしやすくなります。

浴室・便所の改良と滑りにくい床材

水まわりを安全にする工事も、対象のまとまりに入ります。またぎやすい浴槽への取り替えや洗い場を広げる浴室の改良、和式から洋式便器へ変える便所の改良が代表例です。滑りやすいタイルの床を、滑りにくい材料に張り替える工事も含まれます。

浴室やトイレは家の中でも転倒が起きやすい場所なので、これらの改良は事故を防ぐうえで効きめが大きいところです。どの工事が対象になるかは細かく決められており、見た目が似ていても対象外になる工事があります。工事の前に、対象にあたるかどうかを業者や市区町村と確かめておくと、あとで減額を受けられない事態を避けられます。

費用と床面積の要件

対象の工事をしても、費用や家屋の広さが一定の範囲になければ減額は受けられません。ここでは、自己負担の下限と、補助金を受けたときの費用の数え方を見ていきます。

自己負担が50万円を超えていること

費用には下限があり、自己負担額が50万円を超えていることが条件です。国土交通省の案内でも、総工事費が税込み50万円を超えていることが要件として示されています。工事費が少額にとどまると、対象の工事であっても減額は受けられません。

この50万円は、あくまで自分が負担した額で見ます。手すりを一本付けただけでは届かないことが多く、複数の工事をまとめて行うと超えやすくなります。工事を分けて発注すると一件ずつの額が下がり、要件に届かなくなることもあるので、まとめて工事する場合は見積もりの段階で総額を確かめておくとよいでしょう。

補助金を受けた分は費用から差し引く

自治体などから補助金を受け取った場合は、その分を工事費から差し引いて自己負担額を数えます。補助金で補われた部分は自分の負担ではないため、費用に数えられないという考え方です。横浜市の固定資産税の減額制度の案内でも、補助金等を除いた自己負担が50万円を超えることが要件として示されています。

たとえば総額70万円の工事に30万円の補助金が出た場合、自己負担は40万円となり、50万円の要件には届きません。補助金を使うほど自己負担は下がるので、減額の要件との兼ね合いを見ておく必要があります。家屋の床面積にも下限と上限の要件があり、自治体によって数値の扱いが違うので、あわせて市区町村で確かめておくと確実です。下の表に、主な要件をまとめました。

確認する項目 主な要件
家屋の古さ 新築から10年以上たっている
住んでいる方 65歳以上・要介護要支援・障害のいずれか
工事の種類 手すり・段差解消・拡幅・戸や水まわりの改良など
自己負担額 補助金を除いて50万円を超える
対象の広さ 床面積100㎡相当分まで(下限の要件あり)

申告の方法と必要書類

減額は自動では適用されず、工事のあとに自分で市区町村へ申告してはじめて受けられます。ここでは、申告の期限と窓口、そろえる書類の中身を見ていきます。

工事完了から3か月以内に市区町村へ申告する

申告には期限があり、工事が完了した日から原則3か月以内に、家屋のある市区町村へ申告します。窓口は固定資産税を扱う部署で、市税事務所や区役所の税務課などにあたります。この期間を過ぎると、その年度分の減額を受けられなくなることがあるので、工事が終わったら早めに動くのが安全です。

減額を受けるかどうかは申告があってはじめて判断されるため、申告をしなければ税額は下がりません。工事を頼んだ業者は税の申告まではしてくれないことが多いので、申告は自分で忘れずに行う必要があります。忙しくて後回しにしがちな手続きなので、工事の完了日を控えておき、期限から逆算して準備を始めるとよいでしょう。

居住者の条件を証明する書類をそろえる

申告には、住んでいる方が条件に当てはまることを示す書類が要ります。65歳以上であれば年齢のわかる住民票の写し、要介護または要支援であれば介護保険の被保険者証の写し、障害のある方であれば障害者手帳など、当てはまる区分に応じて書類を用意してください。どの区分で申告するかによって、必要な書類が変わります。

これらは、減額の対象になる方が実際にその家に住んでいることを裏づけるためのものです。書類は工事の翌年の1月1日時点の状態で見るのが一般的なので、認定を申請中の場合などは間に合うかを確かめておくとよいでしょう。自分のケースで何を出せばよいか迷うときは、申告先の市区町村に事前に問い合わせておくと、そろえ直しの手間を省けます。

工事内容の証明書と領収書を添える

居住者の書類に加えて、どんな工事をいくらで行ったかを示す書類も要ります。工事の内容がわかる明細書や、改修した箇所を撮った写真、費用を支払ったことがわかる領収書などをそろえます。これらは、対象の工事が実際に行われ、自己負担が要件を満たしていることを確かめるためのものです。

自治体によっては、建築士や住宅性能評価機関などが発行する増改築等工事証明書で、写真や明細に代えられる場合もあります。補助金を受けたときは、その額がわかる書類もあわせて必要です。必要な書類は自治体ごとに細かい違いがあるので、申告の前にどの様式で何を出すのかを市区町村に確かめておくと、手戻りを防げます。

他の減額制度との重複には制限がある

固定資産税には、耐震改修や省エネ改修に対する減額もあり、バリアフリー改修の減額とすべてを重ねて受けられるとは限りません。横浜市の案内でも、他の減額制度と重複して適用することはできないと示されています。工事の種類によっては、どれか一つを選ぶ形になるでしょう。

注意

固定資産税の減額の要件や必要書類、他制度との重複の扱いは、自治体によって細かく異なり、年度によって変わることもあります。対象になるか、いつまでに何を出せばよいかは、必ず家屋のある市区町村の固定資産税の窓口で、工事の前後に確かめてください。

どの減額が使えるかや、どれを選ぶと有利かは、家屋の状況や工事の内容で変わります。判断に迷うときは、申告の前に市区町村の固定資産税の担当へ相談し、自分のケースに合う形を教えてもらうとよいでしょう。

まとめ

バリアフリー改修に対する固定資産税の減額は、対象の工事をした家屋の翌年度分の税額が、床面積100平方メートル相当分まで3分の1軽くなる制度です。新築から10年以上たった住宅に、65歳以上や要介護、障害のある方が住んでいることが条件で、賃貸は対象になりません。手すりの取り付けや段差の解消、通路の拡幅、水まわりの改良などが対象の工事にあたります。

費用は、補助金を除いた自己負担が50万円を超えていることが要件です。減額を受けるには、工事の完了から3か月以内に、居住者の条件を示す書類と工事内容の証明書、領収書をそろえて市区町村へ申告します。他の減額制度との重複には制限があるので、対象になるか迷うときは、注文や申告の前に必ず家屋のある市区町村の固定資産税の窓口に確かめてから進めてください。使える減税を一望したい方は、バリアフリーリフォームの減税まとめもあわせて役立ててください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました