リフォームローンの種類と選び方|担保あり・なしの違いと高齢者の借入

リフォームで直す

浴室と玄関と廊下をまとめて直そうとすると、見積もりは百万円単位に届くことがあります。介護保険の住宅改修や自治体の補助金を使っても、残った分をどう工面するかで手が止まる家族は少なくありません。

そこで候補に挙がるのがリフォームローンです。ただ、担保のいる型といらない型では借りられる金額も返済の期間も変わり、親本人が高齢だと年齢だけで組めないこともあります。仕組みを知らないまま窓口へ行けば、勧められた商品をそのまま受けることにもなりかねません。

そこで、リフォームローンの種類と担保あり・なしの違い、選ぶときに確かめたい物差し、高齢者本人が借りるときの壁と使える制度までをまとめました。借りて直すかどうかを決める材料として役立ててください。

リフォームローンの基本

リフォームローンは、住まいの工事費にあてる目的で借りるお金です。ここでは、住宅ローンとの違いと、申し込む前に確かめておきたい点を説明します。

リフォームローンは工事費にあてる目的別の借入

リフォームローンは、使いみちを住まいの工事に限った目的別の借入です。金融機関は工事の見積書や契約書を確認したうえで融資を実行し、借りたお金が実際に工事へ使われたかを請求書などで確かめる運用をとっています。使いみちが決まっているぶん、何にでも使えるフリーローンやカードローンより低い金利が示されるのが通例です。

バリアフリー工事も、手すりの取り付けから浴室の入れ替え、間取りを変える大がかりな改修まで、住まいの工事であればおおむね対象に入ります。ただし、どこまでを工事とみなすかや、福祉用具の購入費を含められるかは金融機関で扱いが分かれます。見積書を持って窓口や公式サイトで、その工事が対象になるかを先に確かめておくとよいでしょう。

住宅ローンとは借りられる金額と期間の幅が違う

同じ住まいのための借入でも、住宅ローンとリフォームローンは金額と期間の幅が大きく違います。住宅ローンは家そのものを建てたり買ったりする数千万円規模の借入で、返済期間も数十年に及びます。これに対してリフォームローンは、数十万円から一千万円前後までを数年から十数年で返す想定の商品が中心です。

工事の規模が家を買うのに近づくほど、リフォームローンの枠では収まらなくなります。逆に、手すり数本の工事に住宅ローンのような長期の借入を持ち込むと、利息を長く払い続けることになってしまいます。まずは工事の見積額を確かめ、どちらの土俵で考える金額なのかを見きわめてから商品を探してください。

借りる前に補助金と自己資金を差し引く

借入額を決めるのは、見積書の総額そのものではありません。介護保険の住宅改修費や自治体の補助金、手元の預貯金や家族から出せる分を先に差し引いた残りが、実際に借りるべき額になります。総額のまま申し込むと、あとから給付が入っても借入は減らず、払わなくてよい利息を負うことになります。

制度は工事の前に申請するものが多く、着工後に気づいても使えません。工事費の内訳や場所ごとの目安を確かめたい方は、バリアフリーリフォームの費用相場で総額の見当をつけてから、使える制度をケアマネジャーや自治体の窓口に確認しておきましょう。借入の話は、そこで残った金額が見えてから始めるほうが無駄がありません。

リフォームローンの種類

リフォームローンは、担保を差し出すかどうかで性格がはっきり分かれます。ここでは、無担保型と有担保型、そして住宅ローンに組み込む方法の3つを説明します。

無担保型は少額を短期で借りる

担保を差し出さずに借りるのが無担保型で、リフォームローンといえばまずこの型を指します。土地や建物に抵当権を設定しないため、申し込みから融資までが早く、書類も少なく済みます。限度額は数百万円から一千万円ほど、返済期間は十年から十五年ほどを上限とする商品が多く、手すりの設置や浴室の入れ替えといった一か所ずつの工事に向いています。

その代わり、金融機関は担保という後ろ盾を持たないので、金利は有担保型より高めに設定されるのが一般的です。抵当権の設定登記が不要なぶん、登記費用や司法書士への報酬がかからず、諸費用は軽く収まります。工事が一か所で、数年で返しきれる見通しが立つなら、この型から検討するとよいでしょう。

有担保型は大型工事を長期で借りる

土地や建物を担保に入れて借りるのが有担保型です。金融機関は返済が滞ったときに担保を処分できるため、無担保型より大きな金額を、長い期間、低い金利で貸せます。限度額が一千万円を超え、返済期間も二十年、三十年と取れる商品があり、家じゅうの段差をなくす、間取りごと変えるといった大型の改修に向いています。

無担保型は少額を早く借りられる代わりに金利が高く、有担保型は金利と限度額で有利な代わりに手続きと諸費用が重くなります。有担保型では抵当権の設定登記が必要になり、登記費用や司法書士報酬、事務手数料、保証料などが上乗せされます。審査も担保評価を挟むぶん時間がかかるので、着工の希望日から逆算して早めに動いてください。

住宅ローンにリフォーム分を上乗せする方法もある

住宅ローンを返済中の方や、中古住宅を買って直す方には、リフォーム費用を住宅ローンに組み込む道もあります。借換えのタイミングで残債とリフォーム費用を合わせて借り直せば、リフォームローンより低い金利と長い期間で返せる場合があります。ただし借換えには事務手数料や登記費用がかかるため、金利差だけで得になるとは限りません。

中古住宅の購入と合わせて直すなら、住宅金融支援機構の【フラット35】リノベという選択肢もあります。中古住宅を購入したうえで一定の要件を満たすリフォームを行うと、当初の一定期間、借入金利が引き下げられる仕組みです。リフォームだけを目的とした利用や、新築の購入・借換えには使えないと公式に示されているので、住んでいる家を直すだけの方は、この枠から外れる点に注意してください。

無担保型と有担保型の違いを、下の表にまとめました。

比べる点 無担保型 有担保型
担保 不要 土地・建物に抵当権を設定
限度額の目安 数百万円〜一千万円ほど 一千万円を超える商品もある
返済期間の目安 十年〜十五年ほど 二十年〜三十年ほど
金利 有担保型より高め 無担保型より低め
諸費用 軽い(登記が不要) 重い(登記費用・司法書士報酬など)
審査 比較的早い 担保評価を挟み時間がかかる
向く工事 一か所ずつの工事 家全体の大型改修

※金利・限度額・期間は金融機関と時期で変わります。最新の条件は各金融機関の公式サイトや窓口で確かめてください。

リフォームローンの選び方

型が見えてきたら、次は自分たちの工事と家計に合うかを見きわめる番です。ここでは、申し込む前に順に確かめたい4つの物差しを説明します。

工事の総額から借りる型を絞る

最初の物差しは、補助金と自己資金を引いたあとに残る借入額です。残りが数百万円までで、十年ほどで返しきれる見通しが立つなら、手続きの軽い無担保型で十分でしょう。残りが一千万円を超えるか、返済に二十年以上かけたいなら、有担保型や住宅ローンへの組み込みを候補に入れる場面になります。

工事を一度に全部やらず、危ない場所から順に分けて発注する手もあります。浴室と玄関を今年、廊下は来年と分ければ、一回あたりの借入が無担保型の枠に収まり、諸費用も軽く済むはずです。どこから直すべきかは体の状態で変わるので、工事の順番はケアマネジャーや理学療法士の見立てを聞いてから決めてください。

返済期間は完済時の年齢から逆算する

借入は、借りられる額でなく返しきれる期間から決めます。金融機関は返済が終わるときの年齢に上限を置いており、住宅金融支援機構の【フラット35】ご利用条件では、借入期間の上限を「80歳」から「申込時の年齢(1年未満切上げ)」を引いた年数と35年のいずれか短いほうとする決まりが示されています。リフォームローンでも完済時の年齢に上限を置く商品が一般的で、年齢が上がるほど組める期間は短くなる決まりです。

期間が短くなると、同じ金額を借りても毎月の返済額は跳ね上がります。親が七十代なら十年も取れないことがあり、その場合は借入額そのものを下げるか、収入のある子が借りるかの判断に移ります。年金や家計から毎月いくらまでなら無理なく出せるかを先に決め、その金額から逆算して借りる額を決めるほうが安全です。

金利は総返済額に直して比べる

金利は数字の低さだけで比べず、返し終わるまでに払う総額に直して見ます。金利が低くても期間が長ければ利息の合計はふくらみ、金利がやや高くても短期で返せば総額は小さく収まります。多くの金融機関がサイトに返済シミュレーションを用意しているので、借入額と期間を入れて総返済額と毎月の返済額を出し、同じ条件で並べてください。

変動金利か固定金利かも、総額を左右します。変動金利は当初の返済が軽く見えますが、見直しで金利が上がれば返済額も増え、返し終わるまでの総額は借りた時点では確定しません。固定金利は総額が最初から読めるぶん、年金暮らしのように収入が増えにくい家計とは相性がよい面があります。どちらが合うかは家計の余力で変わるので、迷うときは複数の金融機関で条件を出してもらって見比べましょう。

諸費用と保証料まで足して見積もる

借入で出ていくお金は、元金と利息だけではありません。事務手数料、保証会社に払う保証料、有担保型なら抵当権の設定登記にかかる登録免許税と司法書士への報酬、印紙税などが重なります。金利の低さに引かれて選んだ商品が、諸費用まで足すと割高になっていたという食い違いは起こりがちです。

保証料は金利に上乗せする形と、契約時に一括で払う形があり、どちらを選ぶかで手元から出る現金が変わります。繰上返済の手数料や、返済が終わるときの抵当権抹消にかかる費用も、契約前に確かめておきたい項目です。見積もりを取るときは「金利のほかに、契約から完済までにかかるお金をすべて出してほしい」と伝え、書面でもらってから比べてください。

高齢者本人が借りるときの壁

親本人の名義で借りようとすると、年齢と収入で思うように進まない場面が出てきます。ここでは、高齢の方が申し込むときにぶつかりやすい3つの壁を説明します。

完済時年齢の上限で返済期間が短くなる

高齢の方が最初にぶつかるのが、完済時の年齢に置かれた上限です。多くの商品は返済が終わるときの年齢を八十歳前後までとしており、申込時の年齢が上がるほど組める期間は自動的に縮みます。七十五歳で申し込めば数年しか取れず、毎月の返済額が年金では抱えきれない水準まで上がってしまうのが実情です。

期間が取れないなら、借入額を下げて工事の範囲を絞るか、名義そのものを見直すことになります。工事を必要な場所だけに削り、残りは福祉用具のレンタルでしのぐという組み立て方もあります。どこまで削れるかはケアマネジャーに相談し、削った結果で無理なく返せるかを家計と突き合わせてから申し込んでください。

年金収入だけでは審査が通りにくい

年齢の次に壁になるのが収入です。金融機関は返済にあてられる収入が安定して続くかを見ており、年金収入だけの場合、金額そのものが低く、これから増える見込みもないため、審査は厳しく判断されがちです。年金を収入として認めない商品や、給与収入があることを条件にしている商品もあります。

親本人で通らないときは、収入のある子が借りて工事を進める形が現実的な選択肢になります。同居する子の収入を合算して申し込める商品や、親子リレー返済のように親子で返済をつなぐ仕組みを持つ商品もあり、住宅金融支援機構の【フラット35】でも親子リレー返済を使う場合は満70歳以上でも申し込めるとされています。どの形が使えるかは金融機関で違うので、家族の顔ぶれと収入を伝えて相談してみてください。

団体信用生命保険に年齢の制限がある

三つ目の壁が、団体信用生命保険(借りた方が亡くなったときに残債が保険で返済される仕組み)です。加入できる年齢に上限を置く商品が多く、上限を超えていると、団信の加入を必須とする商品ではそもそも申し込めません。健康状態の告知でつまずき、持病があると加入できないこともあります。

団信への加入を任意とする商品や、団信なしで借りられる商品もありますが、その場合は借りた方に万一のことがあると残債が相続人へ引き継がれます。誰がどう返すのかを家族で決めないまま契約すると、あとで相続の場面でもめる火種になりかねません。団信の有無と、なかった場合に誰が返すのかは、契約前に家族で話し合っておきましょう。

高齢者向けの返済特例とリ・バース60

年齢や収入で普通のローンが組めないときのために、公的な枠組みの返済特例が用意されています。ここでは、住宅金融支援機構が保険を引き受ける【リ・バース60】の仕組みを説明します。

リ・バース60は毎月の支払いが利息だけになる

【リ・バース60】は、住宅金融支援機構が住宅融資保険を引き受け、提携する金融機関が扱う高齢者向けの住宅ローンです。機構の【リ・バース60】では、毎月の支払いは利息のみで、元金は契約者が亡くなったときに相続人が一括して返済するか、担保物件(住宅および土地)の売却によって返済する仕組みが示されています。資金の使いみちには住宅のリフォームも含まれ、住宅ローンの借換えにも使えます。

毎月の負担が利息だけで済むため、年金収入でも返済を続けやすいのがこの制度の特徴です。一方で、生活資金や投資用物件の取得には使えないと明記されており、住まいのための借入に限られます。年齢や資金の使いみち、融資の限度額といった商品内容は金融機関ごとに異なるとされているので、条件は必ず取扱金融機関で確かめてください。

ノンリコース型なら相続人に残債が及ばない

【リ・バース60】には、担保を売っても元金を返しきれなかったときの扱いが違う2つの型があります。機構の説明では、ノンリコース型を選ぶと相続人は残った債務を返済する必要がなく、リコース型では相続人が残った債務を返済する必要があるとされています。担保にした家の値段が下がったときの負担を、誰が負うかが分かれる点です。

融資限度額は担保評価額(住宅および土地)の50パーセントまたは60パーセントとされ、条件によって変わります。実家の評価額しだいでは、希望する工事費に届かないこともあります。持ち家を担保に入れる判断は相続にも関わるので、親と子の双方が同席したうえで、取扱金融機関の窓口に条件を出してもらってから決めてください。

注意

借入が組めるかどうか、どの型が向くかは、年齢・収入・健康状態・家の評価額・家族構成といった個別の事情で変わります。金利や限度額、年齢要件も金融機関と時期によって違います。ここに書いた内容は判断の材料であって、特定の商品をすすめるものではありません。契約の前に、必ず取扱金融機関の窓口や、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に自分たちの事情を伝えて確かめてください。

子が借りて親の家を直すときの注意

親本人で借りられないとき、収入のある子が借りて親の家を直す形になりますが、ここには税の論点がついてきます。ここでは、工事の前に押さえておきたい3つの注意点を説明します。

親名義の家を子の負担で直すと贈与税の論点が出る

子がお金を出して親名義の家を直すと、親子の間でも税の問題が起こりえます。国税庁の親名義の建物に子供が増築したときでは、増築部分は建物の所有者である親のものになり、親が子に対価を支払わないときは、親が子から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税されると示されています。良かれと思って出したお金が、税の場面では親への贈与とみなされる形です。

同じ資料では、子が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子へ移転させて共有にすれば贈与税は課税されないこと、その持分の移転は親から子への譲渡にあたり、譲渡利益が生じれば譲渡所得の課税対象になることも示されています。どの工事がここでいう増築にあたるか、実際にいくら動くのかは、工事の中身と家の評価で変わります。判断は自分たちで決めず、工事の前に税務署か税理士に見積書を見せて確かめてください。

名義と費用の分担は工事前に家族で決める

税の扱いも相続の場面も、誰が名義人で誰がお金を出したかで変わります。工事が終わってから持分を動かそうとすると、登記の費用が別にかかり、税の扱いも変わりかねません。誰の名義の家を、誰が借り、誰が返し、家をどうするのかは、着工の前に家族で話して形を決めておくほうが後がこじれません。

きょうだいがいる場合は、その場にいない人にも工事の話を通しておきましょう。一人だけがお金を出して実家を直したという事実は、相続の話し合いで持ち出されやすい材料になります。出したお金の記録を見積書や振込の控えで残し、決めた内容は口約束でなく書面にしておくと、後から確かめられます。

借りずに済ませる道も並べて比べる

借入は最後の手段として置き、その前に借りずに済む道を全部並べてみてください。介護保険の住宅改修や自治体の補助金、工事を数年に分ける、工事でなく福祉用具のレンタルに切り替えるといった選択肢で、借入そのものが不要になることもあります。手すりや段差解消なら、工事より用具で片づく場面も少なくありません。

まず何から手をつけるかを見直したい方は、バリアフリーリフォームとはで工事の全体像をつかんでおくと、削れる範囲が見えてきます。お金が足りないときの優先順位のつけ方は、費用が払えないときの対処にまとめてあります。借りると決める前に、この2つを見てから金額を確かめ直しましょう。

まとめ

リフォームローンは、住まいの工事費にあてる目的別の借入です。担保のいらない無担保型は数百万円を十年ほどで返す手続きの軽い型、担保を入れる有担保型は大型改修を長期で低い金利で返せる型にあたります。中古住宅を買って直すなら【フラット35】リノベのような住宅ローン側の選択肢もありますが、住んでいる家を直すだけでは使えません。

選ぶときは、補助金と自己資金を引いた残りから型を絞り、完済時の年齢から期間を逆算し、金利は総返済額と諸費用まで足して比べます。親本人の借入は完済時年齢・年金収入・団信の年齢制限で通りにくく、毎月の支払いが利息だけで済む【リ・バース60】が候補になる場面もあります。子が借りて親名義の家を直すと贈与税の論点が出るので、契約や着工の前に、取扱金融機関の窓口と税務署か税理士に自分たちの事情を伝えて確かめてから決めてください。工事費の見当を先につけたい方は、バリアフリーリフォームの費用相場もあわせて役立ててください。

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