家庭内の転倒を防ぐ基本|場所別のリスクと今日からできる対策

バリアフリーリフォームの基礎知識

親が転ぶとしたら外出先だろう、と考える家族は少なくありません。ところが実際に高齢者が転んでけがをしている場所は、何十年も暮らしてきた自宅の中が最も多くなっています。しかも転ぶきっかけは、玄関の大きな段差より、敷居の数ミリの盛り上がりやカーペットの縁だったりします。

転倒を防ごうとして、床の段差だけを見て回る方は多いものです。ただ、同じ敷居でも若い頃はつまずかなかったのですから、変わったのは家ではなく体のほうでもあります。脚の力や視力、飲んでいる薬といった体の変化と、段差や滑りやすさといった家の条件が重なった場所で、人は転びます。

そこで、家庭内で転倒が起きる仕組みと、体・家それぞれの原因、居間から浴室や玄関までの場所別のリスクと対策、工事をせずに今日から始められる手当てまでをまとめました。親の転倒を防ぎたい方の最初の一歩として役立ててください。

家庭内で転倒が起きる仕組み

転倒を防ぐ手を打つには、どこで、どのくらいの深刻さで起きているのかを先に知っておきたいところです。ここでは、家庭内の転倒の起きやすさと、その先に待つ結果を見ていきます。

転倒事故のおよそ半数は自宅で起きる

高齢者の転倒でまず知っておきたいのは、危ないのが外より自宅だという点です。消費者庁の「転倒予防の日」に合わせた注意喚起では、65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報が5年間で275件寄せられ、これは転倒事故を発生場所別に見たとき最も多く、48%を占めていたと示されています。

高齢者の転倒は、一般道路でも公共施設でもなく、住み慣れた自宅でおよそ半数が起きています。東京消防庁の救急搬送データからみる高齢者の事故でも、令和6年中に「ころぶ」事故で搬送された高齢者73,500人のうち、住宅等居住場所が42,180人で最も多く、その9割以上にあたる39,053人が屋内での発生でした。親の外出を心配する前に、まず家の中を疑ってみてください。

骨折・転倒は要介護のきっかけになる

家の中の転倒を軽く見てはいけない理由は、その先に介護が待っているからです。厚生労働省の2025年国民生活基礎調査の概況では、介護が必要となった主な原因のうち、要介護者では「骨折・転倒」が14.8%で第2位、要支援者では14.7%で第3位を占めると示されています。要介護者にかぎれば認知症に次ぐ多さで、転んだ一度が介護の始まりになっているわけです。

けがの重さも見過ごせません。消費者庁の注意喚起では、自宅で転んだ高齢者の8割以上が通院や入院が必要なけがを負い、骨折をした場合は要入院となる高齢者が76%に上ると示されています。東京消防庁のデータでも、「ころぶ」事故で運ばれた高齢者の約4割が入院の必要な中等症以上と診断されました。骨折で数週間動けなくなれば、その間に脚の力はさらに落ち、退院した頃には歩けなくなっている場合もあります。転倒対策は、けがを防ぐというより在宅の暮らしを守る手当てだと考えて、後回しにせず取りかかりましょう。

転倒は体の変化と家の条件が重なって起きる

同じ家に何十年も住んで転ばなかった親が急に転ぶようになるのは、家が変わったからではありません。転倒は、脚の力や視力といった体の変化と、段差や滑りやすさといった家の条件が掛け合わさったところで起きます。敷居の数ミリの段差は昔からありましたが、つま先が上がらなくなった脚には引っかかるようになった、というのが実態でしょう。

この見方が大事なのは、片方だけを直しても防ぎきれないからです。家じゅうの段差をなくしても、薬でふらついていれば平らな廊下で崩れ落ちます。逆に運動を続けて脚を鍛えても、暗い廊下にコードが這っていれば足を取られます。体の側で何が起きているか、家の側に何が残っているかを両方書き出してから、手を打つ順番を決めてください。家のどこが危ないかを部屋ごとに見て回るなら、高齢者の住まいの危険箇所チェックリストもあわせて使うと漏れが減ります。

転倒につながる体の変化

親が転ぶようになった背景には、本人も気づいていない体の変化がひそんでいます。ここでは、転倒に直結しやすい体の変化を4つ見ていきます。

脚の筋力が落ちてつま先が上がらなくなる

家の中の転倒でいちばん多いきっかけは、脚の力が落ちて足が上がらなくなることです。年齢とともに太ももやすねの筋肉が細ると、歩くときにつま先を持ち上げる力が弱まり、足の裏を引きずるように歩く「すり足」になります。この歩き方だと、床から数ミリしか足が上がっていないため、敷居やカーペットの縁でも簡単につまずきます。

親が転ぶのは大きな段差ではなく、若い頃なら気づきもしなかった数ミリの盛り上がりです。東京消防庁も高齢者の事故防止ポイントとして、敷居につまずかないよう体力を増強し、つま先を上げてすり足を改善するよう呼びかけています。廊下を歩く親の足元を後ろから10秒眺めて、足の裏が床から離れているかどうかを確かめてみてください。引きずっているようなら、家の段差を削るより先に、歩き方と脚の力に手を入れる番だと考えるとよいでしょう。

視力の低下で足元の段差を見落とす

足元が見えていないという理由でも、人は転びます。加齢によって視力そのものが落ちるだけでなく、白内障で全体が白くかすんだり、明暗に目が慣れるまでの時間が長くなったりするため、床の色の変わり目や段差の境目を見分けにくくなるのです。明るい居間から暗い廊下へ出た瞬間、しばらく足元がほとんど見えていない状態にもなります。

厄介なのは、本人が「見えていない」と自覚しにくい点でしょう。段差の手前で足を止めなくなった、床に置いた物を蹴飛ばすようになったといった変化があれば、目のほうを疑ってみてください。眼科での定期的な検査に加えて、家の側では床と段差の色を分けたり、廊下の照明を明るくしたりすると、見落としを減らせます。眼鏡の度が合っていない場合も多いので、最後に測ったのがいつかを親に聞いてみましょう。

薬の副作用でふらつきが出る

床にも脚にも問題がないのに転ぶなら、飲んでいる薬を疑う番です。厚生労働省の高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)では、「ふらつき・転倒」が薬剤によって起こりうる老年症候群として挙げられ、原因となる薬剤に降圧薬や睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などが示されています。眠るための薬や血圧の薬という、高齢者がごく普通に飲んでいる薬が並んでいるところがこの問題の怖さです。

同じ指針では、複数の医療機関からの処方が重なって薬の数が増えること自体も、有害事象につながる問題として扱われています。夜中にトイレへ立ってふらついた、朝からぼんやりしていて足元が定まらないといった様子があれば、飲んでいる薬をすべて書き出し、お薬手帳を持ってかかりつけ医か薬剤師に見てもらってください。

注意

薬が原因ではないかと思っても、家族の判断で飲むのをやめたり量を減らしたりしないでください。急にやめると持病が悪化する薬もあります。めまいやふらつきが続くときも自己判断せず、飲んでいる薬をすべて医師や薬剤師に伝えたうえで、続けるかどうかを決めてもらいましょう。

立ちくらみで起き上がった直後に傾く

寝床から起き上がった直後や、椅子から立った瞬間に転ぶのは、立ちくらみが原因である場合が多くあります。体を起こしたときに血圧をうまく保てないと、脳へ届く血が一時的に足りなくなって視界が暗くなり、体が傾きます。とっさに支えられる力も落ちているため、そのまま倒れ込むわけです。

消費者庁の注意喚起でも、転倒事故の状況として「ベッド等から移動時に」が挙げられ、寝起きや夜間のトイレなどでベッドから起き上がるときや体勢を変えるときは慎重にするよう呼びかけられています。対策そのものは簡単で、起きたらいったんベッドに腰かけて数を数えてから立つ、という一手間を親の習慣にするだけです。夜中に何度も起きるようなら、トイレまでの動線に手すりか支えになる家具を置いて、ふらついた瞬間につかまれる場所を作っておきましょう。

転倒につながる家の条件

体の側に変化が出ていても、家の側に引っかかる物や滑る床がなければ転倒には至りません。ここでは、体の変化と重なったときに転倒を招く家の条件を見ていきます。

敷物の縁とコードに足が引っかかる

すり足になった脚が最初につまずくのは、床に置かれた薄い物です。玄関マットやカーペットの縁は数ミリの高さしかありませんが、めくれ上がっていればつま先が入り込みます。延長コードも同じで、家電の位置を変えるうちに通り道を横切ったまま何年も放置されている家は珍しくありません。消費者庁の注意喚起でも、転倒事故の状況として「つまずく」「引っ掛かる」が挙げられています。

床に敷いた新聞やチラシ、脱いだ衣類、季節家電といった「一時的に置いたはずの物」も同じ危険を持ちます。消費者庁は電源コードが通り道にこないよう電気製品を置くことを対策として挙げていますが、家族が帰省したときに床の物をまとめて片づけるだけでも効果があります。親の家に上がったら、まず寝室からトイレまでを実際に歩いて、足に触れる物がないかを確かめてみてください。

照明が暗いと足元の段差が見えない

暗さも、転倒を招く家の条件です。高齢者は明るさに目が慣れるまで時間がかかるため、夜中にトイレへ立ったときや、明るい部屋から暗い廊下へ出たときには、しばらく足元が見えないまま歩くことになります。段差やコードがあっても目に入らないため、家の側の危険がそのまま転倒に直結してしまうのです。

節約のつもりで廊下の電球を切っている、明かりのスイッチが部屋の入口にしかなくて暗いまま歩いている、という家もよく見かけます。夜のうちに親の家の廊下やトイレまでの道を、実際に電気を消して歩いてみるとよくわかるでしょう。足元が見えないと感じた場所には、後から挙げる足元灯で光を足せます。

濡れた床と履物で足が滑る

滑りやすい床は、つまずきとは別の形で転倒を招きます。浴室や脱衣所の濡れたタイル、洗面所の水はね、台所の油が飛んだ床は、体重を預けた瞬間に足が前へ流れる場所です。消費者庁の注意喚起でも、転倒事故の状況の筆頭に「滑る」が挙げられ、浴室や脱衣所に滑り止めマットを敷くことが対策として示されています。

床だけでなく、履いている物にも原因があります。かかとのないスリッパは脱げかけたまま歩くことになりますし、底がつるつるした靴下はフローリングの上でよく滑ります。親が家の中で何を履いているかは、電話では聞き出せない情報です。帰省したときに足元を見て、脱げやすい物を履いていたら替え時だと考えましょう。

場所別の転倒リスクと対策

家の中でも、転倒が起きやすい場所と、そこで働いている原因はそれぞれ違います。ここでは、部屋ごとのリスクと打てる手を見ていきます。

居間は敷物とコードでつまずく

意外に思われるかもしれませんが、家の中で転倒がいちばん多いのは、危なそうに見える浴室や階段ではなく、日常を過ごす部屋です。東京消防庁の令和6年のデータでは、住宅等居住場所で「ころぶ」事故が起きた場所の1位が居室・寝室で29,783人となっており、2位の玄関・勝手口等(3,900人)を大きく引き離しています。長い時間を過ごすぶん、つまずく機会も多くなるわけです。

居間で足を取るのは、カーペットの縁、こたつ布団のすそ、テレビや電気ストーブのコード、床に積んだ新聞といった低い物です。家具の配置を変えて、テレビの前から出入口までをまっすぐ歩ける道にし、その道の上には何も置かないと決めてください。こたつを使う季節は、布団のすそを踏まないよう内側へ折り込む習慣をつけると、つまずく回数が減ります。

廊下と階段は暗さと支えのなさで転ぶ

廊下と階段は、暗さと支えのなさが重なる場所です。東京消防庁のデータでは、住宅内で「ころぶ」事故が起きた場所の3位が廊下・縁側・通路で2,653人となっています。階段はさらに深刻で、「落ちる」事故の原因では階段が4,240人で1位を占めており、転ぶより落ちる形で大けがにつながります。

廊下では、足元灯で夜の暗さをなくすことと、床の物をどけることが先です。階段は、手すりが片側だけでも付いているかを確かめ、なければ設置を検討してください。段鼻(段の先端)に滑り止めのテープを貼り、明るさを上げるだけでも踏み外しは減らせます。消費者庁も、段差のあるところや階段、玄関には手すりや滑り止めを設置するよう呼びかけています。

浴室とトイレは滑りと立ちくらみが重なる

水回りは、滑りやすさと体の負担が同時にかかる場所です。消費者庁の注意喚起では、自宅内での発生場所が分かっている144件のうち「浴室・脱衣所」が27件で最も多くなっていました。濡れた床の上で、片脚を上げて浴槽をまたぐという動作を毎日繰り返すのですから、危ないのも当然でしょう。

トイレは、東京消防庁のデータで住宅内の4位(トイレ・洗面所で1,229人)に入っています。夜中に眠い目で、立ちくらみを起こしやすい起き抜けの体で、暗い廊下を通って向かうという条件がそろう場所だからです。浴室には滑り止めマットを敷き、浴槽の出入りに手すりか浴槽用のグリップを付けましょう。トイレは足元灯で道を照らし、便座から立つときにつかまれる支えを用意しておくと安心です。

玄関と屋外は上がり框と足元の不安定さで転ぶ

玄関は、家の中でも珍しく大きな段差が残っている場所です。東京消防庁のデータでも、住宅内で「ころぶ」事故が起きた場所の2位が玄関・勝手口等で3,900人となっています。上がり框を片脚立ちでまたぎながら、同時に靴を脱ぎ履きするという不安定な動作が集中するので、支えがないと崩れやすいのです。

庭や駐車場までのアプローチも見落とせません。消費者庁のデータでは、自宅内の発生場所として「庭・駐車場」が26件と、浴室・脱衣所に次ぐ多さでした。玄関には靴を履くための椅子と、立ち上がるための手すりを置き、屋外は苔や砂利、ホースの放置といった足元の不安定さをなくしておきましょう。

場所ごとのリスクと対策を、下の表にまとめました。

場所 主なリスク 打てる対策
居間 敷物の縁、コード、こたつ布団 通り道を作って物を置かない
廊下 暗さ、床の物 足元灯、床を空ける
階段 踏み外し、支えのなさ 手すり、段鼻の滑り止め、照明
浴室 濡れた床、浴槽のまたぎ 滑り止めマット、手すり
トイレ 夜間の暗さ、立ちくらみ 足元灯、立ち座りの支え
玄関 上がり框、靴の脱ぎ履き 椅子、手すり
屋外 苔、砂利、傾き 通路の整備、滑り止め

工事をせず今日からできる対策

手すりの設置や段差の解消には業者の手配と費用がかかりますが、その前にできることも多くあります。ここでは、工事なしで今日から始められる対策を見ていきます。

通り道の物を減らす

いちばん効いて、いちばん安い対策が、床の物をどけることです。寝室からトイレ、居間から玄関という毎日通る道を実際に歩き、足に触れる物をすべて別の場所へ移してください。新聞や雑誌の山、コード、脱いだ衣類、季節外れの家電が、そのまま転倒のきっかけになっています。

親が「まだ使うから」と手放したがらない場合は、捨てる話にせず、置き場所を通り道の外へ変える相談にすると進みやすくなります。床に置かないと決めた道を1本作るだけでも、夜中の移動はぐっと安全になるものです。帰省のたびに同じ道を歩いて、物が戻っていないかを確かめる役目を家族が引き受けましょう。

足元灯で夜の暗さをなくす

夜の転倒を減らすなら、明かりを足すのがいちばん早い手です。人の動きを感知して光るタイプのフットライトなら、コンセントに挿すだけで廊下やトイレまでの道を照らせます。スイッチを探して壁を手さぐりする必要がなくなるので、その間にふらつく危険もなくなります。

寝室の枕元からトイレまで、暗い区間が続かないよう2〜3か所に置くのが目安です。まぶしすぎると目が慣れずかえって見えにくくなるため、床を照らす弱めの明かりを選んでください。停電時にも点く充電式の物にしておくと、災害のときにもそのまま使えます。数千円で買えて工事もいらないので、親の家へ行く前に人数分まとめて用意しておきましょう。

滑り止めを敷く

水回りの滑りには、滑り止めを敷くのが手軽な対策です。消費者庁も、浴室や脱衣所に滑り止めマットを敷くことを転倒予防の一手として挙げています。洗い場に敷くマットのほか、浴槽の底に沈めるタイプもあり、どちらもホームセンターや通販で数千円あれば手に入ります。

居間のカーペットや玄関マットには、めくれ上がりを止める滑り止めシートを裏に貼っておきましょう。マット自体がずれる状態だと、それ自体が転倒のきっかけになってしまいます。どんな小物があるかを見比べたい方は、介護の便利グッズもあわせて確認しておくと選びやすくなります。

スリッパをやめて足に合う履物にする

家の中の履物を替えるだけでも、転倒の危険は下げられます。かかとのないスリッパは、すり足の脚では引きずるように歩くことになり、脱げかけたまま段差を踏んだ瞬間に足を取られます。底がつるつるした靴下も、フローリングでは滑る原因です。

かかとが包まれていて、底に滑り止めが付いた室内履きに替えると、こうした危険をまとめて減らせます。素足で過ごせるなら、それがいちばん滑りにくい場合もあります。親に「スリッパは危ない」と言っても聞いてもらいにくいので、帰省のときに滑り止め付きの室内履きを買って持っていき、今のスリッパを持ち帰ってしまうほうが早いでしょう。

転んでも大けがにしない備え

対策を尽くしても、転倒をゼロにはできません。ここでは、転んだときの被害を小さくするための備えを見ていきます。

運動を続けて転びにくい体を保つ

家の側をいくら手当てしても、脚の力が落ち続ければ転倒は増えます。消費者庁も転倒予防の注意点の第一に、個人に合った適度な運動を続けて体の機能の低下を防ぐことを挙げています。椅子からの立ち座りを繰り返す、台所で調理しながらつま先立ちをする、いすの背につかまって片脚で立つといった、道具のいらない運動から始めれば十分です。

大切なのは、強さより続くかどうかでしょう。テレビを見る時間や歯磨きの時間といった、毎日必ずある場面にくっつけると習慣になります。持病がある方や、すでに転んだことがある方は、どこまで動いてよいかがそれぞれ違うため、かかりつけ医か理学療法士に内容を決めてもらってから始めてください。

転んだときに知らせる手段を用意する

ひとり暮らしの親の場合、転んだこと自体より、誰にも気づかれないまま何時間も床に倒れていることのほうが命に関わります。骨折して動けなくなれば、自力で電話まで行くことすらできません。冬なら低体温症、夏なら脱水が重なって、転倒そのもの以上の事態になります。

首から下げる形の緊急通報ボタンや、一定時間動きがないと家族へ連絡が届く見守り機器を置いておくと、この時間を短くできます。携帯電話をポケットに入れて持ち歩く習慣をつけるだけでも違うでしょう。毎日決まった時間に電話をかける、宅配の安否確認サービスを使うといった、機器に頼らない方法とも組み合わせて、気づかれない時間を作らない備えをしておいてください。

まとめ

高齢者の転倒は、外出先ではなく自宅でおよそ半数が起きており、要介護の原因としても上位を占めます。転ぶ理由は床の段差だけではなく、脚の力や視力の低下、薬の副作用、立ちくらみといった体の変化と、敷物やコード、暗さ、滑りやすさといった家の条件が重なったところで起きるものです。片方だけ直しても防ぎきれません。

場所ごとに見ると、居間は敷物とコード、廊下と階段は暗さと支えのなさ、浴室とトイレは滑りと立ちくらみ、玄関は上がり框が主なリスクになります。まずは通り道の物をどけ、足元灯を足し、滑り止めを敷き、スリッパをやめるところから始めてください。ふらつきや薬の不安があるときは、家族で判断せず必ず医師か薬剤師に相談しましょう。工事や用具まで含めて何から手をつけるかを見渡したい方は、バリアフリーリフォームの進め方もあわせて役立ててください。

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