介護の便利グッズ|滑り止めマット・見守りセンサー・小物で暮らしを助ける

福祉用具・介護用品

親の介護が始まると、まず手すりの工事や介護ベッドといった大きな備えに目が向きがちです。ただ、実際に暮らしの中で困るのは、床で滑りそうになる、夜に一人で起きて転ばないか気になる、といった小さな場面の積み重ねだったりします。

こうした日々の困りごとは、数百円から数千円の便利グッズで先に減らせることが少なくありません。滑り止めマットや見守りセンサー、握りやすい食器などは、工事を待たずにその日から使え、合わなければ替えもききます。まず小物から試して、様子を見ながら本格的な備えに進む順番も選べます。

そこで、介護の便利グッズを転倒予防や見守り、食事、排泄といった場面ごとにまとめました。あわせて、こうしたグッズの多くが自費で買えること、一部は介護保険の対象になる例外も添えています。どこから手を付ければよいか迷ったときの手がかりにしてください。

介護の便利グッズが役立つ場面

便利グッズは、大きな工事や高額な用具に踏み切る前に、暮らしの困りごとを小さく減らせる道具です。ここでは、こうしたグッズがどんな場面で役立ち、どう取り入れていけばよいかを見ていきます。

小物は工事や高額用具の前に試せる

便利グッズのいちばんの強みは、大がかりな備えの前に、その日から小さく試せることです。手すりの取り付けや浴室の改修は工事の日取りや費用がかかりますが、滑り止めマットや握りやすいスプーンなら、買ってきてすぐ使えます。困りごとがはっきりする前でも、気になった場所から一つずつ手を打てるのが利点です。

合わなければ別のものに替えられるので、いきなり高い用具をそろえて後悔する心配が少なくてすみます。親の体の状態はこの先も変わっていくため、まず小物で様子を見て、本当に工事や高額な用具が要る場面かどうかを見きわめやすくなるでしょう。用具全体の考え方を先に押さえたい方は、介護用品の全体像もあわせて確認しておくと、小物と本格的な備えの線引きがしやすくなります。

便利グッズの多くは自費で買える

介護の便利グッズは、その大半が介護保険を通さず自費で買うものだと知っておくと、選ぶときに迷いません。滑り止めマットや床の滑り止めテープ、リーチャー(離れた物を取る道具)、握りやすい食器などは、要介護認定の有無にかかわらず、ホームセンターや通販で自由に買えます。手続きを待たずにそろえられる手軽さが持ち味です。

自費と聞くと高くつく印象を持つ方もいますが、こうした小物は数百円から数千円のものが中心で、家計への負担は大きくありません。一方で、見守り機器や排泄まわりの一部には、あとで見るように介護保険の対象になる例外もあります。基本は自費、一部に補助や貸与の例外がある、と分けて考えると混乱しにくくなります。

体の状態に合わせて少しずつ足す

便利グッズは一度にそろえるより、親の体の状態に合わせて少しずつ足していくほうが無駄になりません。歩きが不安になったら滑り止め、夜の一人歩きが心配になったら見守り、と困りごとが表に出た順に一つずつ加えていけば、使わずにしまい込むものが減ります。

先回りしてあれこれ買い込むと、体の状態と合わずに箱のまま眠ることになりがちです。今いちばん困っている場面は何かを本人や介護する家族と話し、そこに効く小物から手を付けてください。次の困りごとが出てきたら、また一つ足す。この繰り返しが、暮らしに本当に合う道具を残すいちばんの近道になります。

転倒を防ぐ滑り止めグッズ

高齢者の転倒は骨折や寝たきりのきっかけになりやすく、小物で先に手を打てる場面の代表です。ここでは、床や浴室の滑りを抑え、ぶつかりを和らげるグッズを見ていきます。

滑り止めマットで浴室や玄関の転倒を防ぐ

濡れて滑りやすい浴室や玄関には、滑り止めマットを敷いておくと転倒の危険をぐっと減らせます。消費者庁の高齢者の転倒事故への注意喚起では、転倒事故の約半数が住み慣れた自宅で起きており、浴室や脱衣所、玄関などが起こりやすい場所として挙げられています。この資料の中でも、浴室や脱衣所への滑り止めマット敷きは基本の対策の一つです。

水を含んでも滑りにくい浴室用マットや、玄関の上がり口に合うマットを選ぶと、足元の不安がやわらぎます。マットの端がめくれて逆につまずかないよう、床に吸着するタイプや、ずれ止めのついたものを選んでください。敷いたあとも、端が浮いていないか時々確かめておくと安心して使い続けられます。

床の滑り止めテープで動線の危険を減らす

段差や階段のふち、フローリングの滑りやすい場所には、滑り止めテープを貼って足元の危険を減らせます。テープは幅や色の種類があり、階段の一段ごとに貼れば、踏み外しやすいふちが目立って足を置く位置も分かりやすくなります。工事のように床を壊さず、貼るだけで対策できる点も心強いところです。

貼る前に床のほこりや油分をふき取っておくと、はがれにくく長持ちします。透明なものは見た目を保てますが、目の悪い方には黄色など目立つ色のほうが、段差の位置に気づけて安全です。はがれてめくれると逆につまずくもとになるので、めくれてきたら早めに貼り替えてください。親の視力や動線に合わせて、色と貼る場所を選びましょう。

家具の角ガードでぶつかりを和らげる

テーブルや棚の角には、クッション材の角ガードを付けておくと、ぶつかったときのけがを和らげられます。ふらついて体を支えようとした拍子に家具の角へ手や頭をぶつけると、皮膚の薄い高齢者は思わぬ大けがにつながりかねません。柔らかい素材で角を覆うだけで、当たったときの衝撃をやわらげられる点が強みです。

角ガードはL字型やテープ型があり、家具の形に合わせて選べます。両面テープで留めるものが多く、貼る面をきれいにふいてから付けると取れにくくなります。よく通る場所の家具や、立ち座りで手をつくテーブルの角から優先して付けてください。見た目が気になる場合は、家具の色に近い落ち着いた色を選ぶとなじみます。

離れていても様子が分かる見守りグッズ

一人で過ごす時間や夜間の動きが心配になったら、見守りグッズで離れていても様子をつかめます。ここでは、代表的な見守り機器と、その一部が介護保険の対象になる点を見ていきます。

見守りセンサーで転倒や起き上がりに気づく

見守りセンサーは、親の動きや起き上がりを感じ取り、離れた家族へ知らせてくれる機器です。ベッドの下に敷くマット型や、部屋の動きを捉える人感型などがあり、夜中に一人で起きてトイレへ向かう、しばらく動きがない、といった変化に気づけます。四六時中そばにいられなくても、異変の早い発見に役立つ道具です。

厚生労働省と経済産業省がまとめた介護ロボットの重点分野でも、見守り機器は転倒や転落の早い発見に役立つ道具として位置づけられています。センサーは、通知の届く範囲やスマートフォンで受け取れるかどうかが機種ごとに違うため注意が必要です。夜間だけ知らせてほしいのか、日中の様子も見たいのかを決めてから選ぶと、通知が多すぎて疲れる失敗を避けられます。親の生活リズムに合う感度と通知の方法を確かめてください。

カメラ付き機器で離れた部屋から確認する

音声やカメラの付いた見守り機器を使うと、離れた部屋や外出先からでも親の様子を目で確かめられます。スマートフォンの画面で居間やベッドの様子を映せるものや、声をかけ合えるものがあり、転んで動けないときの発見や、日中の安否確認に役立ちます。センサーだけでは分からない実際の姿を確認できるのは、カメラならではの利点です。

一方で、カメラは本人のプライバシーに関わるため、どこに置くか、いつ映すかを本人とよく話し合っておくことが欠かせません。トイレや浴室のような場所は避け、居間や玄関など見守りに必要な範囲にとどめてください。通信環境が必要な機種も多いので、家のWi-Fi(無線でつながる通信環境)が届くかも先に確かめておくと、設置してから困らずにすみます。

徘徊感知機器は介護保険の貸与対象になる

認知症で外へ出て行ってしまう心配があるときは、その動きを知らせる機器が介護保険の貸与対象になります。厚生労働省の福祉用具・住宅改修では、認知症老人徘徊感知機器が福祉用具貸与の対象種目として示されており、玄関やベッドを離れたことを家族へ知らせる機器などが含まれます。要介護認定を受けていれば、自己負担は原則として単価の一〜三割です。

自費で買う一般の見守りセンサーと違い、この機器は制度を通して借りられる例外にあたります。対象になるかや、どの機種が体の状態に合うかは要介護度によって変わるため、担当のケアマネジャーに相談してから決めてください。買い切る前に、貸与の対象になるかを一度確かめておくと、費用を抑えられる場合があります。

食事や生活動作を助ける自助具

握る力や体の動きが落ちてくると、日々の細かな動作そのものが負担になります。ここでは、そうした動作を小さく助ける自助具を見ていきます。

リーチャーで落ちた物や高い場所に手を伸ばす

リーチャー(離れた物をつかむ道具)があると、腰をかがめたり背伸びしたりせずに、落ちた物や高い棚の物を取れます。床の物を拾おうとしてふらつく、高い場所へ手を伸ばして体勢を崩す、といった転びやすい動作を減らせる道具です。柄の先で物をつかむ仕組みなので、腰や膝に痛みがある方でも扱えます。

長さや先の形、つかむ力に種類があり、軽い紙をつまむものから、ペットボトルを持ち上げられるものまであります。よく落とす物や、届きにくい場所に合わせて選んでください。握力が弱い方には、軽い力で先が閉じるタイプが向いています。実際に使う場面を思い浮かべ、どのくらいの重さの物をつかみたいかを決めてから選ぶと、使わずに終わる失敗を防げます。

持ちやすい食器やスプーンで食事を楽にする

握る力が落ちてくると、ふつうの箸やスプーンでは食べこぼしが増え、食事そのものが億劫になりがちです。柄が太く握りやすいスプーンや、すくいやすいよう縁が立った皿、滑り止めのついた食器を使うと、自分の手で食べ続けられます。人に頼らず食べられる時間を長く保つことは、本人の張り合いにもつながる大切なことです。

握力に合わせて柄の太さや角度を選べるものや、手の動きに合わせて曲げられるスプーンもあります。滑り止めマットを食器の下に敷けば、片手でも器が動かず、すくう動作が楽になるでしょう。食べこぼしが増えてきた、器を押さえる手がつらそう、といった様子が見えたら、まず一本、握りやすいスプーンから試してみてください。

排泄や入浴まわりを楽にする小物

排泄や入浴は毎日の中でも負担が大きく、転倒の心配も重なる場面です。ここでは、この時間を少し楽にする小物を見ていきます。

手すりや滑り止めで入浴の不安を減らす

浴室は濡れて滑りやすく、またぎ動作も多いため、小物で足元と動作を支えると入浴の不安が減ります。浴槽のふちに挟んで使う簡易手すりや、浴室の床に敷く滑り止めマット、立ち座りを助ける浴槽内のいすなどがあり、工事をせずに置くだけで使えるものも少なくありません。またぎや立ち座りの一瞬を支えるだけで、転倒の危険が下がります。

工事なしで付けられる据え置きや突っ張りの手すりについては、工事不要の介護用手すりで詳しく扱っています。浴室用の手すりやいすは、水にぬれても滑りにくい素材か、体重をかけても安定するかを確かめて選んでください。親の入浴のどの動作がいちばんつらそうかを見て、またぎなのか立ち座りなのかに合わせて小物を足すと、無駄なくそろえられます。

ポータブルトイレ用品で夜間の負担を軽くする

夜間にトイレまで歩くのがつらい、間に合わないことが増えた、という場面では、寝室に置くポータブルトイレとその周辺用品が役立ちます。消臭剤や使い捨ての処理袋、便座を温めるカバーなどをそろえると、後始末の負担が減り、本人も家族も夜の負担が軽くなるでしょう。移動の距離が短くなるぶん、夜間の転倒の心配も小さくなるはずです。

ポータブルトイレ本体や排泄まわりの選び方は、ポータブルトイレの選び方で詳しく扱っています。周辺の消耗品は、こぼれても片づけやすいものや、においを抑えられるものを選ぶと続けやすくなります。夜のトイレで困っている様子が見えたら、まずは寝室の動線に合う場所へ置くことから考えてみてください。

使い捨てや消耗品は自費で用意する

排泄まわりの使い捨て用品や消耗品は、介護保険の対象にならず自費でそろえるものだと知っておくと、費用の見通しが立ちます。紙おむつや尿とりパッド、処理袋、消臭剤といった毎回使ってなくなるものは、制度のうえでも貸与や販売の対象から外れており、日用品として自分で買います。まとめ買いで単価を抑える工夫がしやすい部分です。

自治体によっては、紙おむつの現物支給や購入費の助成を行っているところもあり、これは介護保険とは別のしくみです。お住まいの市区町村の窓口で、おむつの助成があるかを確かめておくと、消耗品の負担を抑えられる場合があります。日々かかるものだからこそ、使う量と費用を見ながら、無理なく続けられる買い方を選んでください。

便利グッズと介護保険の関係

便利グッズは自費が基本ですが、一部に介護保険の対象になる例外があり、ここを取り違えると損をします。ここでは、自費と制度対象の線引きと、迷ったときの相談先を見ていきます。

便利グッズの大半は自費購入になる

これまで見てきた滑り止めマットや自助具、一般の見守りセンサー、排泄まわりの消耗品などは、その大半が介護保険を通さない自費購入です。日常生活の便宜を図る一般的な日用品は、制度の貸与や販売の対象になっていないためです。要介護認定を受けていても、これらは自分で選んで買うことになります。

自費が基本と分かっていれば、制度の手続きを待たずに、必要なものから先にそろえられます。多くは数百円から数千円で買えるため、まず自費で試し、合うものを見きわめてから量をそろえる進め方も選べるでしょう。制度の対象かどうかで迷って動けなくなるより、困っている場面に効く小物から手を打つほうが、暮らしはすぐに楽になります。

排泄予測支援機器など一部は特定福祉用具販売の対象

便利グッズの中でも、排泄に関わる一部の機器は、介護保険の特定福祉用具販売の対象になる例外です。厚生労働省の福祉用具・住宅改修では、排泄予測支援機器や、自動排泄処理装置の交換可能部品が販売の対象種目として示されています。対象になれば、購入費の自己負担は原則として単価の一〜三割ですむ計算です。

これらは肌に触れる部分や排泄の経路にあたるため、衛生上、貸与ではなく購入のしくみになっています。ただし、専用のパッドや洗浄液のように使うたびになくなるものは対象から外れ、自費で用意します。同じ排泄まわりでも、機器の本体や交換部品は制度対象、消耗品は自費、と分かれる点を押さえておいてください。

迷ったら福祉用具専門相談員に相談する

自費か制度対象かの線引きは品目ごとに細かく、判断に迷うときは福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談すると確実です。制度の対象になる品目は年度で見直されることがあり、体の状態や要介護度によっても、貸与と購入のどちらが向くかは変わります。専門職に聞けば、今の状態に合う選び方を教えてもらえます。

注意

介護の便利グッズは、滑り止めマットや自助具、消耗品など大半が自費購入です。一方で、排泄予測支援機器や自動排泄処理装置の交換可能部品などは特定福祉用具販売、認知症老人徘徊感知機器などは福祉用具貸与の対象になります。対象になるかは種類や要介護度で変わるため、買う前に必ず担当のケアマネジャーか福祉用具専門相談員に確かめてください。

場面ごとの代表的なグッズと費用の扱いを、下の表にまとめました。

場面 代表的なグッズ 費用の扱い
転倒予防 滑り止めマット、滑り止めテープ、角ガード 自費購入
見守り 見守りセンサー、カメラ付き機器 自費購入
見守り(認知症) 認知症老人徘徊感知機器 介護保険の貸与対象
食事・生活動作 リーチャー、握りやすい食器・スプーン 自費購入
排泄 排泄予測支援機器、交換可能部品 特定福祉用具販売の対象
排泄 紙おむつ、パッド、消臭剤 自費(自治体助成の例あり)

まとめ

介護の便利グッズは、大きな工事や高額な用具の前に、暮らしの困りごとを小さく減らせる小物です。転倒を防ぐ滑り止めマットや角ガード、離れていても様子が分かる見守りセンサー、食事を助ける自助具、排泄や入浴を楽にする小物まで、困っている場面に合わせて一つずつ足していける手軽さが持ち味です。

こうしたグッズの大半は数百円から数千円の自費購入で、その日から試せます。ただし、排泄予測支援機器や交換可能部品は特定福祉用具販売、認知症老人徘徊感知機器は福祉用具貸与の対象になるなど、一部に介護保険の例外があります。対象かどうかで迷ったら、注文の前に福祉用具専門相談員かケアマネジャーに相談してから決めてください。用具全体の選び方を見比べたいときは、介護用品の全体像もあわせて役立ててください。

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